LED(発光ダイオード)を光らせる回路は、電子工作のまさに原点です。私も電子工作を始めたばかりのころ、「LEDを1個光らせる」というシンプルな目標からスタートしました。しかし、いざやってみると「抵抗は何Ωを使えばいいの?」「直列と並列って何が違うの?」「データシートの数字はどう読むの?」と疑問が次々に湧いてきて、意外と奥が深いことに気づかされました。
この記事では、LED回路をゼロから自分で設計する力を身につけることを目標にしています。LEDのデータシートの読み方から、オームの法則を使った抵抗値の計算、直列・並列接続の違い、そして実際にブレッドボード上で回路を組み立てるところまで、一つひとつ丁寧に解説していきます。
「なぜこの抵抗値なのか」を自分で理解して選べるようになれば、どんなLED回路でも自信を持って設計できるようになります。計算式を丸暗記するのではなく、考え方を理解することを大切にしていきましょう。
LEDの基本仕様を理解する
LED回路を設計するうえで最初にやるべきことは、使うLEDの「スペック」を正しく把握することです。私も最初はLEDなんてどれも同じだと思っていましたが、実際にはLEDごとに電気的な特性が異なり、それを無視して回路を作ると光らなかったり壊れたりします。
データシートの読み方
LEDを購入すると、メーカーから「データシート」と呼ばれる仕様書が提供されています。データシートにはさまざまな情報が記載されていますが、回路設計で最低限押さえるべき項目は次の3つです。
1. 順方向電圧(Vf:Forward Voltage)
LEDを点灯させるために必要な最低限の電圧です。この電圧がLEDの両端にかかって初めて電流が流れ、発光します。Vfは「typ(標準値)」と「max(最大値)」が記載されていることが多いですが、回路設計では安全側を取るためにtyp値を使うのが一般的です。
2. 順方向電流(If:Forward Current)
LEDに流す推奨電流です。一般的な5mm砲弾型LEDでは20mAが標準です。この電流を超えるとLEDの寿命が短くなったり、最悪の場合は焼損します。逆に少なすぎると暗くなりますが、壊れることはありません。実用的には10〜15mA程度でも十分な明るさが得られるLEDも多いです。
3. 最大定格(Absolute Maximum Ratings)
「これを超えたら壊れますよ」という限界値です。最大順方向電流、最大逆方向電圧、許容損失などが記載されています。特に最大逆方向電圧(Vr)は5V程度のLEDが多いため、逆接続時に壊れる原因になります。
色によるVfの違い
LEDの順方向電圧は、発光色によって大きく異なります。これはLEDに使われる半導体材料が色ごとに異なるためです。回路設計で非常に重要なポイントなので、代表的な値をしっかり覚えておきましょう。
| LED色 | 順方向電圧(Vf) | 半導体材料 |
|---|---|---|
| 赤色 | 1.8〜2.2V | GaAlAs / GaAsP |
| 橙色 | 2.0〜2.2V | GaAsP / InGaAlP |
| 黄色 | 2.0〜2.2V | GaAsP / InGaAlP |
| 緑色 | 2.0〜2.5V | GaP / InGaN |
| 青色 | 3.0〜3.5V | InGaN |
| 白色 | 3.0〜3.5V | InGaN + 蛍光体 |
ここで注目してほしいのは、赤・橙・黄色系のLEDは約2V前後なのに対し、青・白色系は3V以上必要だということです。この違いは抵抗値の計算に直接影響します。たとえば、3.3V電源で白色LED(Vf=3.2V)を点灯させようとすると、抵抗にかけられる電圧がわずか0.1Vしかなく、事実上まともに点灯しません。電源電圧の選定とLEDの色は必ずセットで考える必要があります。
LEDの外観から極性を見分ける
LED回路を正しく動作させるには、極性(プラスとマイナス)を間違えないことが大前提です。5mm砲弾型LEDの場合、極性を見分ける方法は主に3つあります。
- リード線の長さ:長い方がアノード(+)、短い方がカソード(−)
- LED内部の金属片:小さい方(三角形のチップが載っている側)がアノード、大きいカップ状の方がカソード
- 外周のフチ(フラット面):カソード側に平らな面(Dカット)がある
実際の作業では、リード線をカットしてしまった後に極性がわからなくなることがあります。私は何度もこの失敗をしました。カットする前にマーカーで印をつけておくか、フラット面で確認する癖をつけることをおすすめします。
抵抗値の計算方法
LED回路設計の核心部分、抵抗値の計算です。ここがわかれば、どんなLED回路でも自力で設計できるようになります。
オームの法則の復習
まず基本となるオームの法則を確認しましょう。
V = I × R
- V:電圧(ボルト, V)
- I:電流(アンペア, A)
- R:抵抗(オーム, Ω)
この式を変形すると R = V / I となり、必要な抵抗値を求められます。
LED回路の抵抗値計算式
LED回路で電流制限抵抗の値を求める式は次の通りです。
R = (Vs - Vf) / If
- Vs:電源電圧(V)
- Vf:LEDの順方向電圧(V)
- If:LEDに流したい電流(A)
この式の考え方はシンプルです。電源電圧(Vs)のうち、LEDが消費する電圧(Vf)を引いた残りが、抵抗にかかる電圧になります。その電圧と流したい電流(If)から、オームの法則で抵抗値を求めているだけです。
実際に作ってみると、この計算が自然と身につきます。では、具体的な例を3つ見ていきましょう。
計算例1:5V電源で赤色LEDを点灯
最もポピュラーな組み合わせです。USB電源やArduinoの5V出力で赤色LEDを光らせるケースを考えます。
- 電源電圧(Vs):5V
- 赤色LEDの順方向電圧(Vf):2.0V(typ)
- 流したい電流(If):20mA = 0.020A
R = (5.0 - 2.0) / 0.020
R = 3.0 / 0.020
R = 150Ω
計算結果は150Ωです。この値はE24系列にそのまま存在するので、150Ωの抵抗を使えばOKです。実際には、LEDを少し長寿命にしたい場合は220Ωや330Ωを使って電流を絞ることも多く、私の経験では220Ωが最も汎用的で使いやすいです。
計算例2:3.3V電源で白色LEDを点灯
ESP32やRaspberry Pi Picoなど、3.3Vで動作するマイコンから白色LEDを駆動する場合です。
- 電源電圧(Vs):3.3V
- 白色LEDの順方向電圧(Vf):3.2V(typ)
- 流したい電流(If):20mA = 0.020A
R = (3.3 - 3.2) / 0.020
R = 0.1 / 0.020
R = 5Ω
計算上は5Ωとなりますが、これは実用的ではありません。抵抗にかかる電圧がたった0.1Vしかなく、電源電圧のわずかな変動でLEDの明るさが大きく変わったり、過電流になる危険があります。
このようなケースでは、そもそも3.3V電源で白色LEDを使うこと自体が適切でないと判断すべきです。白色LEDを使いたい場合は5V以上の電源を用意するか、Vfの低い赤色・黄色系のLEDに変更することを検討しましょう。これは教科書には載っていない、実際に回路を設計してみないとわからない落とし穴のひとつです。
計算例3:12V電源で青色LEDを点灯
DCアダプタや車載電源(12V)で青色LEDを光らせるケースです。
- 電源電圧(Vs):12V
- 青色LEDの順方向電圧(Vf):3.2V(typ)
- 流したい電流(If):20mA = 0.020A
R = (12.0 - 3.2) / 0.020
R = 8.8 / 0.020
R = 440Ω
計算結果は440Ωです。E24系列では440Ωは存在しないため、近い値を選ぶ必要があります(詳しくは次のセクションで解説します)。この場合は470Ωを選択します。
470Ωを使った場合の実際の電流を確認してみましょう。
I = (12.0 - 3.2) / 470
I = 8.8 / 470
I ≈ 0.0187A ≈ 18.7mA
20mAよりわずかに少ないですが、十分な明るさで点灯します。このように、E24系列の値に合わせることで多少電流が変わりますが、実用上問題になることはほとんどありません。
また、このケースでは抵抗での消費電力も確認しておくと安心です。
P = I × V = 0.0187 × 8.8 ≈ 0.165W
0.165Wなので、一般的な1/4W(0.25W)の抵抗で問題なく使用できます。12V電源では抵抗にかかる電圧が大きくなるため、消費電力のチェックを忘れないようにしましょう。
LED抵抗計算ツールを使えば、面倒な計算を一発で解決できます。
E24系列と抵抗の選び方
抵抗値の計算ができるようになったら、次は「実際に入手できる抵抗」を選ぶステップです。抵抗は任意の値が売られているわけではなく、「E系列」と呼ばれる標準化された値のラインナップから選びます。
E24系列とは
E24系列は、1桁あたり24種類の値が定義された国際規格です。電子工作で最も一般的に使われるカーボン抵抗(許容差±5%)はこのE24系列に準拠しています。
E24系列の基本数列は以下の24種類です。
1.0, 1.1, 1.2, 1.3, 1.5, 1.6, 1.8, 2.0, 2.2, 2.4, 2.7, 3.0,
3.3, 3.6, 3.9, 4.3, 4.7, 5.1, 5.6, 6.2, 6.8, 7.5, 8.2, 9.1
これらの値に10倍、100倍、1000倍...をかけたものが実際の抵抗値になります。たとえば、「4.7」からは4.7Ω、47Ω、470Ω、4.7kΩ、47kΩ...といった抵抗が存在します。
計算値からE24系列を選ぶルール
計算で求めた抵抗値がE24系列にぴったり当てはまることは少ないです。その場合は、次のルールに従います。
原則:計算値より大きい、最も近いE24系列の値を選ぶ
抵抗値を大きくすると電流が減り、LEDへの負荷が軽くなるため安全側になります。逆に計算値より小さい抵抗を選ぶと、想定以上の電流が流れてLEDの寿命を縮めたり焼損の原因になります。
先ほどの計算例3で440Ωと出た場合を考えてみましょう。E24系列で440の前後を探すと、430Ω(4.3×100)と470Ω(4.7×100)があります。原則に従い、計算値440Ωより大きい470Ωを選択します。
ワット数(定格電力)の選定
抵抗にはワット数の定格があり、これを超えると抵抗自体が発熱して焼損します。一般的なカーボン抵抗は1/4W(0.25W)が標準ですが、回路によってはそれでは足りない場合もあります。
抵抗の消費電力は次の式で計算します。
P = I² × R
または
P = V² / R (Vは抵抗にかかる電圧)
先ほどの計算例1(150Ω、20mA)で確認すると、
P = 0.020² × 150 = 0.0004 × 150 = 0.06W
0.06Wなので1/4W抵抗で十分余裕があります。一般的なLED1個の回路であれば、ほとんどの場合1/4Wの抵抗で問題ありません。ただし、12Vや24Vの電源を使う場合や、大電流LEDを駆動する場合は必ず消費電力を確認しましょう。
安全マージンの目安として、定格電力の70%以下で使うことをおすすめします。1/4W抵抗なら0.175W以下、1/2W抵抗なら0.35W以下が目安です。
直列接続と並列接続
LEDを複数個点灯させたい場合、「直列接続」と「並列接続」の2つの方法があります。それぞれの特徴と計算方法を理解しておくと、目的に応じて最適な接続方法を選べるようになります。
直列接続の特徴
直列接続は、LEDを数珠つなぎに接続する方法です。電流の流れる道が1本なので、すべてのLEDに同じ電流が流れます。
回路の構成: 電源(+) → 抵抗 → LED1 → LED2 → LED3 → 電源(−)
メリット:
- 抵抗が1本で済むため、部品点数が少ない
- すべてのLEDに同じ電流が流れるため、明るさが均一になりやすい
- 消費電力の効率が良い(電源電圧を有効に使える)
デメリット:
- 電源電圧がすべてのLEDのVfの合計を超えている必要がある
- 1つのLEDが故障(断線)すると、すべてのLEDが消灯する
- LEDの数を増やすと必要な電源電圧が高くなる
抵抗値の計算式:
R = (Vs - Vf1 - Vf2 - Vf3 - ...) / If
つまり、電源電圧から各LEDのVfを全部引いた残りが抵抗にかかる電圧になります。
たとえば、12V電源で赤色LED(Vf=2.0V)を3個直列にする場合、
R = (12.0 - 2.0 - 2.0 - 2.0) / 0.020
R = 6.0 / 0.020
R = 300Ω
E24系列で300Ωはそのまま存在するので、300Ωを使います。
並列接続の特徴
並列接続は、各LEDを独立した枝に分けて接続する方法です。各LEDに個別の抵抗を付けるのが基本ルールです。
回路の構成:
電源(+) → 抵抗1 → LED1 → 電源(−)
→ 抵抗2 → LED2 → 電源(−)
→ 抵抗3 → LED3 → 電源(−)
メリット:
- 電源電圧が低くても(LED1個分のVf+抵抗分の電圧があれば)点灯できる
- 1つのLEDが故障しても他のLEDは点灯し続ける
- LEDの数を自由に増減できる
デメリット:
- LEDの数だけ抵抗が必要になり、部品点数が増える
- 各LEDのVfのばらつきにより、明るさに差が出ることがある
- 消費電流の合計が大きくなる
抵抗値の計算: 各LEDに対して個別に計算します(LED1個のときと同じ計算式)。
「並列接続で抵抗を共有」はNG
初心者の方がやりがちな間違いとして、並列に接続したLEDに対して抵抗を1本だけ共有するパターンがあります。
× ダメな例:電源(+) → 抵抗 →┬→ LED1 → 電源(−)
├→ LED2 → 電源(−)
└→ LED3 → 電源(−)
これがダメな理由は、同じ色のLEDでもVfに個体差があるためです。Vfがわずかでも低いLEDに電流が集中してしまい、そのLEDだけが過熱して壊れる可能性があります。私も昔この接続をやってしまい、3つ並べたLEDのうち1つだけが異常に明るく光って、しばらくしたら焼けてしまった経験があります。並列接続では必ず各LEDに個別の抵抗をつけてください。
直列と並列の使い分け
では、実際にはどちらを選べばよいのでしょうか。判断基準は主に電源電圧です。
- 電源電圧が高い(12V以上)場合 → 直列接続が有利。電圧に余裕があるので複数のLEDを直列にでき、部品点数が少なくて済みます。
- 電源電圧が低い(5V以下)場合 → 並列接続が適切。直列にするとVfの合計が電源電圧を超えてしまうことが多いです。
- LEDの色が混在する場合 → 並列接続が無難。色ごとにVfが異なるため、直列にすると計算が複雑になり、明るさの差も出やすくなります。
実際にLED回路を作ってみよう
ここまでの知識を使って、実際にブレッドボード上でLED回路を組み立ててみましょう。最もシンプルな「5V電源で赤色LED1個を点灯させる回路」を作ります。
用意するもの
- ブレッドボード(EIC-301など、小型のもので十分)
- 赤色LED(5mm砲弾型):Vf=2.0V、If=20mA
- 抵抗:220Ω(1/4W カーボン抵抗)
- 電源:USB電源アダプタ+USBケーブル(5V)、またはArduinoの5V出力、電池ボックス(単3×3本で4.5V)など
- ジャンパーワイヤー:2本
ステップ1:抵抗値を確認する
前述の計算例1で求めた通り、5V電源・赤色LEDの場合は150Ωが計算値です。今回は少し余裕を持たせて220Ωを使います。
220Ωで流れる電流を確認しておきましょう。
I = (5.0 - 2.0) / 220 = 3.0 / 220 ≈ 13.6mA
20mAの定格に対して13.6mAなので、明るさは少し控えめですが十分に視認できる明るさです。LEDの寿命も長くなるので、特に問題ありません。
ステップ2:ブレッドボードに部品を配置する
ブレッドボードの内部接続を意識しながら、以下の手順で部品を配置します。
抵抗を配置する:ブレッドボードの中央エリアに、横方向にまたぐように抵抗を挿します。たとえば、行10の列aと列eに220Ω抵抗の両足を挿します。抵抗には極性がないので、向きは気にしなくて大丈夫です。
LEDを配置する:抵抗の片方の足と同じ行(列f〜j側)に、LEDのアノード(長い足)を挿します。LEDのカソード(短い足)は隣の行に挿します。たとえば、アノードを行10の列f、カソードを行11の列fに挿します。
ジャンパーワイヤーで電源を接続する:
- 電源の+(5V)から、抵抗のもう一方の足がある行(行10の列a側)へジャンパーワイヤーを接続
- LEDのカソードがある行(行11)から、電源のGNDへジャンパーワイヤーを接続
ステップ3:回路の流れを確認する
配線が終わったら、電源を入れる前に回路の流れを頭の中でたどってみましょう。
5V(+) → ジャンパー → 抵抗(220Ω) → LED(アノード→カソード) → ジャンパー → GND(−)
電流は5Vの+極から出発し、抵抗で電流が制限された後、LEDを通過して光り、GNDに戻ります。この流れが途切れていないことを確認してください。
ステップ4:電源を入れて点灯確認
すべての接続を確認したら、電源を入れます。赤色LEDが光れば成功です。
もし光らない場合は、次のセクション「よくある失敗と対策」のチェックリストを確認してください。
ブレッドボードの使い方がわからない方はブレッドボードの使い方完全ガイドをご覧ください。
応用:複数LEDの点灯回路
1個のLEDを光らせることができたら、次は複数のLEDに挑戦してみましょう。ここでは直列接続と並列接続のそれぞれで、3個のLEDを点灯させる回路を設計します。
応用例1:赤色LED3個の直列接続(12V電源)
12V DCアダプタを使って、赤色LED(Vf=2.0V)を3個直列に接続します。
抵抗値の計算:
R = (12.0 - 2.0 - 2.0 - 2.0) / 0.020
R = 6.0 / 0.020
R = 300Ω
E24系列に300Ωは存在するので、そのまま300Ωを使用します。
消費電力の確認:
P = 0.020² × 300 = 0.12W
1/4W(0.25W)抵抗で問題ありません。
この回路のポイント: 12Vの電源電圧に対してLEDのVf合計が6.0V、抵抗の電圧降下が6.0Vで、きれいに半々に分かれています。電源電圧を有効に使えており、効率的な回路です。もし4個直列にする場合はVf合計が8.0Vとなり、抵抗には4.0Vがかかります。計算すると200Ωです。5個直列ならVf合計10.0V、抵抗には2.0V、100Ωとなります。
ただし、直列にするLEDの数を増やしすぎると、抵抗にかかる電圧が小さくなりすぎて電流が安定しなくなります。目安として、電源電圧の少なくとも20%以上は抵抗で降下させるようにしましょう。12V電源なら抵抗に2.4V以上はかけたいところです。
応用例2:赤色LED3個の並列接続(5V電源)
5V USB電源を使って、赤色LED(Vf=2.0V)を3個並列に接続します。
各LEDの抵抗値計算: 3個とも同じ計算です。
R = (5.0 - 2.0) / 0.020
R = 3.0 / 0.020
R = 150Ω
各LEDに150Ωの抵抗を1本ずつ、合計3本の抵抗を使用します。余裕を持たせて220Ωを選んでも良いでしょう。
電源に流れる合計電流:
220Ωを使用した場合、各LEDに約13.6mAが流れるので、
合計電流 = 13.6mA × 3 = 40.8mA
USB電源は通常500mA以上供給できるので、3個程度なら全く問題ありません。ただし、LEDの数を大幅に増やす場合(たとえば20個以上)は、電源の供給能力を事前に確認する必要があります。
ブレッドボード上の配置のコツ: 並列接続ではLEDと抵抗のペアが3組できます。ブレッドボード上では、電源ライン(+と−のレール)を活用すると配線がすっきりします。各ペアの抵抗の一端を+レールに接続し、各LEDのカソードを−レールに接続すれば、見やすくて間違いにくい配線になります。
直列と並列の組み合わせ(直並列接続)
実は、直列と並列を組み合わせた「直並列接続」もよく使われます。たとえば12V電源でLEDを6個点灯させたい場合、3個直列を2組作り、その2組を並列にする方法があります。
12V(+) → 抵抗1(300Ω) → LED1 → LED2 → LED3 → GND
→ 抵抗2(300Ω) → LED4 → LED5 → LED6 → GND
各直列ラインの計算は先ほどと同じ300Ωで、抵抗は合計2本で済みます。6個すべてを並列にすると抵抗が6本必要ですが、直並列なら2本で済むため、効率的かつ経済的です。この考え方は、LED照明やイルミネーションの設計で実際に広く使われています。
よくある失敗と対策
LED回路は比較的シンプルですが、初心者のうちはさまざまな失敗をするものです。私自身の経験や、電子工作を教える中でよく見かける失敗とその対策をまとめました。
失敗1:LEDの極性を間違える
症状: 電源を入れてもLEDが全く点灯しない。
原因: LEDのアノードとカソードが逆に接続されている。LEDはダイオードの一種なので、逆方向には電流が流れません。
対策: リード線の長さ(長い方がアノード)やLED内部の金属片の大きさ(小さい方がアノード)、外周のフラット面(カソード側にある)で極性を確認してから挿し直しましょう。幸い、一般的なLEDは短時間の逆接続では壊れないことがほとんどです。ただし、逆方向電圧が最大定格(通常5V程度)を超える場合は破損の恐れがあるので注意してください。
失敗2:電流制限抵抗を入れ忘れる
症状: LEDが一瞬だけ明るく光って消える、または煙が出る。
原因: 抵抗を入れずにLEDを電源に直結した。LEDは内部抵抗が非常に小さいため、抵抗なしでは過大な電流が流れて瞬時に焼損します。
対策: LED回路には必ず電流制限抵抗を直列に入れることを鉄則として覚えましょう。「とりあえず光るか試してみよう」と抵抗なしで接続するのは絶対にやめてください。一度焼損したLEDは復活しません。
私も電子工作を始めたばかりの頃、「抵抗がなくてもちょっとだけなら大丈夫だろう」と思って直結したことがあります。結果、LEDがパチッと音を立てて一瞬で死にました。安いLEDとはいえ、初心者にとっては地味にショックな体験です。
失敗3:電源電圧がVfに足りない
症状: LEDが全く光らない、またはごくわずかにしか光らない。
原因: 電源電圧がLEDの順方向電圧(Vf)を下回っている、もしくはギリギリで余裕がない。たとえば、単3電池2本(3.0V)で白色LED(Vf=3.2V)を光らせようとしているケース。
対策: 電源電圧が「Vf + 抵抗で必要な電圧」を十分に上回っていることを確認しましょう。最低でも電源電圧はVfより1V以上高いことが望ましいです。電源電圧が足りない場合は、電池の本数を増やすか、Vfの低いLED(赤色や黄色)に変更してください。
失敗4:ブレッドボードの内部配線を理解していない
症状: 正しく計算した回路なのに、点灯しない。
原因: ブレッドボードの内部接続のルールを理解しておらず、実際には回路がつながっていない。よくあるのが、ブレッドボードの中央の溝をまたいで同じ行に挿しているが、実はその溝で接続が分断されているケース。
対策: ブレッドボードの内部構造を理解することが先決です。一般的なブレッドボードでは、中央エリアは列方向(a〜eとf〜jでそれぞれ独立)に5つの穴が内部でつながっています。中央の溝を挟んで左右は接続されていません。電源レール(両端の赤と青のライン)は行方向に長くつながっています。
失敗5:抵抗のカラーコードを読み間違える
症状: LEDが極端に暗い、または極端に明るい(最悪焼損)。
原因: 抵抗のカラーコードを読み間違えて、意図と違う抵抗値の抵抗を使っている。たとえば、220Ω(赤赤茶)のつもりが2.2kΩ(赤赤赤)を使っていた場合、電流は約10分の1になり非常に暗くなります。
対策: テスターがあれば実測するのが確実です。テスターがない場合は、カラーコードの読み方を再確認しましょう。4本帯の場合、1本目と2本目が有効数字、3本目が乗数(10のn乗)、4本目が許容差です。私の場合、抵抗をセットで購入した際に、袋に値を油性マーカーで書いておくようにしています。これだけで間違いが激減しました。
まとめ
この記事では、LED回路を自分で設計するために必要な知識を、データシートの読み方から実際の回路組み立てまで一通り解説しました。
重要なポイントを振り返りましょう。
- LEDの仕様把握:順方向電圧(Vf)と順方向電流(If)をデータシートで確認する。色によってVfが異なることを忘れずに。
- 抵抗値の計算:R = (Vs - Vf) / If の公式で求める。計算値よりやや大きいE24系列の値を選ぶ。
- 直列と並列の使い分け:電源電圧が高ければ直列が効率的、電源電圧が低い場合は並列が適切。並列では各LEDに個別の抵抗をつける。
- 安全第一:電流制限抵抗は必ず入れる。抵抗のワット数も確認する。極性にも注意。
LED回路の設計は、一見すると単純に見えますが、オームの法則、電力計算、部品の選定といった電子回路設計の基本要素がすべて詰まっています。ここで学んだ考え方は、今後もっと複雑な回路を設計するときにも必ず役に立ちます。
まずは実際に手を動かして、赤色LED1個の回路から始めてみてください。計算して、組み立てて、光った瞬間の達成感は電子工作の醍醐味です。
LED回路の基本がわかったら、Arduinoを使ったLED制御にも挑戦してみましょう。プログラムによる点滅やPWMを使った明るさの制御など、回路設計の知識をベースにしてさらに幅広い表現が可能になります。
オームの法則計算ツールで回路計算の理解をさらに深めましょう。