はんだ付けとは?
はんだ付けは、低融点の合金(はんだ)を溶かして電子部品とプリント基板の銅箔パターンを電気的・機械的に接合する技術です。電子工作において、ブレッドボードでの仮配線を実際の基板として完成させるには、はんだ付けが不可欠です。
今回の記事ははんだごて選び方レビューで紹介している製品を持っている方が、実際にはんだ付けをする際の「テクニック編」です。道具の選び方は先の記事を参照してください。
きれいなはんだ付けができると、以下のメリットがあります。
- 接合強度が高く、振動や衝撃で外れにくい
- 電気抵抗が低く、安定した動作が得られる
- 外観が美しく、修正(リワーク)もしやすい
必要な道具の準備
| 道具 | 説明 | 価格目安 |
|---|---|---|
| はんだごて | 20〜30W程度の入門機、または温調タイプ | ¥1,500〜5,000 |
| はんだ | 0.8mm径、フラックス(ヤニ)入り推奨 | ¥500〜800 |
| こて台 | ごてを安全に置くスタンド | 多くのセットに付属 |
| こて先クリーナー | 真鍮ウールまたはスポンジタイプ | セットに付属または¥200〜 |
| はんだ吸い取り線 | 失敗したはんだを取り除く | ¥400前後 |
| ピンセット | 部品を固定・つまむ | ¥500〜 |
| 基板ホルダー | 作業中に基板を固定する | ¥500〜 |
こて先クリーナーは真鍮ウール(金属スポンジ)タイプをおすすめします。従来の湿らせたスポンジタイプは急激な温度変化でこて先が痛みますが、真鍮ウールタイプは温度変化なく掃除できます。
7つの基本テクニック
コツ1:こて先を十分に加熱してから作業する
電源を入れてから最低2〜3分はウォームアップ時間として待ちましょう。こて先が規定温度に達していないうちに作業を始めると、はんだが溶けにくく「冷えはんだ」になります。
温調(温度調節)タイプのはんだごては、設定温度に達するとランプやLEDで知らせてくれます。温調なしの固定温度タイプの場合は、はんだを少しこて先に当てて、スムーズに溶けるかどうかで確認します。
コツ2:こて先を常に清潔に保つ
はんだごてを使っているうちに、こて先に酸化膜や汚れ(黒ずんだカーボン)が付着します。汚れたこて先は熱伝導が悪くなり、はんだが溶けにくくなります。
こて先の清掃方法:
- 数回はんだ付けするたびに真鍮ウールで軽くこすって清掃する
- 清掃後は少量のはんだをこて先につけて「予備はんだ(メッキ)」をする
- 作業終了時は必ず予備はんだをつけた状態で電源を切る(酸化防止)
コツ3:ランド(パッド)と部品リードを同時に加熱する
はんだ付けの基本は「こて先をランド(基板の銅箔パッド)と部品のリード(足)の両方に当てる」ことです。片方だけを加熱すると、もう一方にはんだが濡れず、接合不良になります。
正しい手順:
- こて先のフラットな面をランドと部品リードの接点に当てる
- 1〜2秒加熱してから、こて先に触れさせるようにはんだを供給する
- はんだが溶けてランドと部品リードに濡れ広がったら、はんだを離す
- 続いてこて先を離す(この順番が重要)
こて先ではなく接合部にはんだを送るイメージで作業することが大切です。
コツ4:適切なはんだ量を守る
はんだの量は少なすぎても多すぎてもいけません。
- 少なすぎ:接触不良、機械的強度不足(「イモはんだ」の原因)
- 多すぎ:隣のランドとブリッジ(ショート)する危険
適切な量ははんだがランドを均一に覆い、部品リードの根元までなだらかに広がっている状態です。断面は富士山のような形をイメージすると良いでしょう。
コツ5:はんだ付け中に部品を動かさない
はんだを離してからこて先を離すまでの冷却中(1〜2秒)に部品が動くと「冷えはんだ」になります。冷えはんだは表面がザラザラして曇った見た目になり、接触不良の原因です。
部品を固定するには:
- 基板ホルダー(サポートスタンド)を使う
- ピンセットで部品を押さえながらはんだ付けする
- 片足だけ先に仮止めしてから位置を調整し、残りの足をはんだ付けする
コツ6:フラックスを活用する
フラックスははんだ付けを助ける化学薬品で、金属表面の酸化膜を除去しはんだの濡れ性を改善します。市販のはんだのほとんどは「ヤニ入り(フラックス入り)」なので、別途用意しなくても大丈夫です。
はんだが濡れにくい場合や、はんだ付け後の修正作業では、別売りのフラックス(液体またはペースト状)を塗布すると作業が楽になります。作業後は基板をイソプロパノール(IPA)等でフラックスを洗浄すると仕上がりがきれいになります。
コツ7:正しい順番で部品を取り付ける
複数の部品をはんだ付けする場合、高さの低い部品から順に取り付けると作業しやすくなります。
推奨取り付け順:
- ジャンパー線(最も低い)
- 抵抗
- ダイオード
- IC(ICソケットを使う場合は先にソケット)
- コンデンサ(背の低いもの→背の高いもの)
- トランジスタ・LED
- コネクタ・端子台(最後)
よくある失敗と対策
冷えはんだ(コールドジョイント)
症状: はんだ表面が曇ってザラザラしている、接触不良
原因: 加熱温度が不足、はんだ付け中に部品が動いた
対策: 一度はんだを吸い取り線で除去してやり直す。こて先温度を上げ、加熱時間を少し長くする。
ブリッジ(隣の端子とショート)
症状: 隣のランドやリードとはんだがつながっている
原因: はんだを多く付けすぎた
対策: はんだ吸い取り線でブリッジ部分のはんだを吸い取る。こて先に少し吸わせる方法も有効。
はんだが濡れない(弾かれる)
症状: はんだが球状になってランドやリードに広がらない
原因: こて先の汚れ、金属表面の酸化、温度不足
対策: こて先を清掃して予備はんだをする。フラックスを追加塗布する。
はんだの除去方法
失敗したはんだを除去するには2つの方法があります。
方法1:はんだ吸い取り線
編み状の銅線で、はんだに当てながら加熱するとはんだが毛細管現象で吸い取られます。細かい部分の除去に向いています。
方法2:はんだシュッ(はんだ吸い取り器)
シリンジ型のポンプで、溶けたはんだを吸引します。一度に多くのはんだを除去できます。価格は¥500〜1,000程度で、はんだ吸い取り線と合わせて持っておくと便利です。
まとめ
はんだ付けの7つのコツをまとめます。
- こて先を十分に加熱してから作業する
- こて先を常に清潔に保つ(真鍮ウールで清掃)
- ランドと部品リードの両方を同時に加熱する
- はんだ量は適切に(少なすぎず多すぎず)
- 冷却中(1〜2秒)に部品を動かさない
- フラックスを活用してはんだの濡れ性を上げる
- 高さの低い部品から順に取り付ける
練習量を重ねることで感覚がつかめてきます。まずはユニバーサル基板に抵抗・LEDを10〜20個はんだ付けして、きれいな仕上がりを目指しましょう。
よくある質問
Q. はんだ付けに適した温度は何度ですか?
鉛入りはんだは約350℃、鉛フリーはんだは約380〜400℃が目安です。温度が低すぎると「冷えはんだ」になり、高すぎると部品やパターンを痛めます。
Q. はんだが玉になって広がらないのはなぜですか?
「冷えはんだ」の可能性があります。原因はこて先の温度不足か、こて先の汚れです。こて先をしっかり熱し、こて先クリーナーで清潔に保ちましょう。
Q. 鉛フリーはんだと有鉛はんだはどちらがいいですか?
初心者には有鉛はんだの方が溶けやすく作業しやすいです。ただし環境への配慮から近年は鉛フリーが主流になっています。フラックス入りのもの(ヤニ入り)を選ぶと作業がしやすくなります。
Q. はんだ付けの練習には何を使えばいいですか?
ユニバーサル基板に抵抗やLEDをはんだ付けする練習が最適です。部品代が安く、失敗しても惜しくありません。まず10〜20個の部品ではんだ付けの感覚をつかみましょう。