エレクトロニクス研究所
比較・選び方約10分

電子工作の電源選び方ガイド:ACアダプターとモバイルバッテリーの使い分け

電子工作で使う電源の選び方を解説。ACアダプターの電圧・電流仕様の読み方、リポバッテリー、モバイルバッテリーの使い分け、電源設計の基礎を説明します。

2026-03-29

電源設計の基礎知識

電子工作において電源の選び方は非常に重要です。適切な電源を選ばないと、マイコンや部品が誤動作したり、最悪の場合は破損する可能性があります。

電源を選ぶ際に確認すべき3つの基本要素があります。

  1. 電圧(V):機器の動作電圧に合わせる。絶対に超えてはいけない。
  2. 電流容量(A):機器が必要な電流量より大きいものを選ぶ。
  3. 極性(+/-):DCジャックの内径がプラスかマイナスか確認する(センタープラスが一般的)。

電圧と電流の見方

ACアダプターのラベルには以下のような表記があります。

INPUT:  100-240V ~ 50/60Hz 0.5A
OUTPUT: 9V DC ⎓ 2A

この場合、AC100〜240V(世界中のコンセントに対応)を入力して、DC9V・2A(最大)を出力します。電力は電圧×電流 = 9V × 2A = 18Wです。

主要ボードの推奨電源一覧:

ボード 電源電圧 推奨電流 接続端子
Arduino Uno R4 5V(USB)または7〜12V(DCジャック) 500mA〜1A USB-C / DCジャック
Arduino Mega 7〜12V 1A以上 DCジャック
Raspberry Pi 5 5V 5A(推奨) USB-C
Raspberry Pi 4 5V 3A USB-C
ESP32-DevKit 3.3〜5V 500mA USB Micro-B
Raspberry Pi Pico 3.3〜5V 300mA USB Micro-B

ArduinoのDCジャックコネクタは2.1mm内径・5.5mm外径・センタープラスが標準です。購入の際はこの規格を確認してください。

ACアダプターの種類と選び方

固定電圧型

最も一般的なACアダプターで、出力電圧が固定されています(例:5V、9V、12V)。用途が決まっていれば固定電圧型が最もシンプルで安価です。

主な固定電圧の用途:

電圧 主な用途
5V Arduino(USB経由)、ESP32、Raspberry Pi
9V Arduino Uno(DCジャック)、小型ロボット
12V Arduino Mega、DCモーター、LED照明

可変電圧型

出力電圧をつまみで調整できるACアダプターです。複数のプロジェクトで使い回せる利点があります。¥1,500〜3,000程度で、3V〜12V程度の範囲で調整できるものが多いです。

ただし、可変電圧型は電圧を間違えてデバイスを壊すリスクもあります。初心者が最初に使う電源としては、固定電圧型の方が安全です。

バッテリーの種類と特徴

可搬性が必要なプロジェクトではバッテリーが必要になります。

バッテリー種類 公称電圧 特徴 主な用途
単3アルカリ乾電池 1.5V 入手容易、高コスト プロトタイプ、非常用
9V角形電池 9V コンパクト Arduinoの簡易電源
ニッケル水素(NiMH)充電池 1.2V 安価、繰り返し使用可 乾電池代替
18650リチウムイオン 3.7V 大容量、長寿命 ロボット、IoTデバイス
リポ(LiPo)バッテリー 3.7V/セル 薄型、高エネルギー密度 ドローン、ウェアラブル
モバイルバッテリー(USB) 5V出力 汎用、扱いやすい 5Vボードの給電

モバイルバッテリーの活用

スマートフォン充電用のモバイルバッテリーは、ArduinoやRaspberry Piの電源として非常に便利です。USB出力で5Vを供給でき、充電も簡単です。

注意点: 一部のモバイルバッテリーは電流が少ないと「省電力保護機能」で自動的に出力をオフにする場合があります。常時稼働するIoTデバイスには、この機能を持たない「パススルー充電対応」製品を選びましょう。

リポバッテリーの注意事項

リポバッテリーは重量あたりのエネルギー密度が高く、ドローンやロボットに使われます。ただし取り扱いには注意が必要です。

  • 過放電禁止:セルあたり3.0V以下まで放電すると劣化・破損する
  • 過充電禁止:専用の「バランス充電器」を使う
  • 物理的ダメージ禁止:穿孔・圧迫すると発火・爆発の危険がある
  • 膨張したものは使わない:膨張はバッテリー劣化のサインで危険

電源設計の実践:必要電流の計算

プロジェクトの電源を設計する際は、全部品の消費電流を合計して電源容量を決めます。

例:Arduinoベースのセンサーノード

部品 消費電流
Arduino Uno R4 最大500mA
DHT22センサー 2.5mA
HC-SR04超音波センサー 15mA
LEDインジケーター(3個) 60mA(20mA×3)
合計 約577mA

余裕を持たせて1A以上の電源を選びます。電源は理論値の1.5〜2倍の容量があると安心です。

電圧レギュレーターの活用

異なる電圧が必要な部品が混在する場合、電圧レギュレーターを使って電圧を変換します。

主な電圧レギュレーターIC:

IC 種類 出力電圧 最大電流 特徴
7805 リニア(降圧) 5V 1A 安価・発熱が多い
7833 リニア(降圧) 3.3V 1A 5V→3.3V変換に定番
LM2596 スイッチング(降圧) 可変 3A 高効率、発熱少
MT3608 スイッチング(昇圧) 可変 2A 電池→5V昇圧に使用

リニアレギュレーターは回路がシンプルですが、電圧差 × 電流分の熱が発生します。大きな電流や電圧差がある場合はスイッチング方式のDCDCコンバーターを使いましょう。

トラブルシューティング:電源に関するよくある問題

症状1:Arduinoがリセットを繰り返す 原因:電源容量不足。モーターや多数のLEDを動かすと瞬間的に電流が不足してリセットがかかる。 対策:より大容量の電源に変更。またはモーターの電源をArduinoと別系統にする。

症状2:センサーの値が安定しない 原因:電源ラインのノイズ。 対策:マイコンのVCC-GND間に100nFのセラミックコンデンサを追加する(デカップリング)。

症状3:ACアダプターが熱くなる 原因:電流容量ギリギリで使用している。 対策:より大容量のアダプターに変更する。

まとめ

電源選びの要点をまとめます。

  • 電圧はボードの仕様に合わせて選ぶ(超えると破損)
  • 電流容量は全消費電流の1.5〜2倍の余裕を持たせる
  • 容量が大きすぎても問題ない(機器が必要な分しか流れない)
  • 充電池はリポバッテリーより安全なモバイルバッテリー/NiMHが入門向き
  • 電圧変換が必要な場合は電圧レギュレーターICを活用する

Arduino入門の電源についてはArduino入門ガイドも参照してください。

よくある質問

Q. ArduinoにはどのACアダプターを使えばいいですか?

Arduino Unoには7〜12V、最低500mAのACアダプターが推奨です。DCジャック(2.1mm内径)タイプを選びましょう。USB給電(5V)でも動きますが、安定した動作にはACアダプターが推奨されます。

Q. 電源の電流容量が大きすぎると危険ですか?

電流容量(A数)は機器が必要なだけ流れるので、容量が大きすぎても問題ありません。電圧は必ず規定値を守ってください。容量不足の方が過熱・誤動作の原因になります。

Q. 乾電池と充電池はどちらが電子工作に向いていますか?

充電池(ニッケル水素またはリチウムイオン)の方が長期的にコスパが良く、電圧が安定しています。ただし乾電池は扱いやすく入手性が高いため、プロトタイプ段階では乾電池を使うのも有効です。

Q. 3.3Vと5VではどちらでArduinoを動かすべきですか?

Arduino Uno R4はUSBまたはDCジャックから5V系で動作します。搭載マイコンの動作電圧は5Vです。ESP32やRaspberry Pi Picoは3.3V系なので、それぞれの仕様に合わせてください。

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