エレクトロニクス研究所
AI解説約9分

M5Stack × AI活用ガイド2026|ディスプレイ付きで始めるIoT・エッジAIプロジェクト

M5Stackシリーズの比較とAI活用プロジェクトを解説。環境モニタリング、ジェスチャー認識、音声制御IoTデバイスの作り方と開発環境のセットアップ方法を紹介します。

2026-04-04

電子工作でAIプロジェクトに取り組みたいけど、「配線が面倒」「ディスプレイの接続が難しい」と感じていませんか?

M5Stackは、ディスプレイ・ボタン・バッテリー・Wi-Fiを一体化した開発ボードです。ブレッドボードなしでAIプロジェクトを始められ、Grove互換コネクタでセンサーも簡単に拡張できます。

この記事では、M5Stackシリーズの選び方からAI活用プロジェクトの実践例まで詳しく解説します。


M5Stackとは

M5Stack(エムファイブスタック)は、中国のM5Stack社が開発するESP32ベースのモジュラー開発プラットフォームです。5cm×5cm(M5 = 5cm Module)のコンパクトな筐体に、マイコン・ディスプレイ・ボタン・バッテリー・スピーカーなどが収まっています。

Arduino/Raspberry Piと並び、2026年現在では電子工作の3大プラットフォームの一つとなっています。

M5Stackシリーズ比較

項目 Basic V2.7 Core2 V1.1 CoreS3 SE
チップ ESP32-D0WDQ6 ESP32-D0WDQ6 ESP32-S3(デュアルコア 240MHz)
RAM 520KB + PSRAM 8MB 520KB + PSRAM 8MB 512KB + PSRAM 8MB
Flash 16MB 16MB 16MB
ディスプレイ 2.0インチ IPS(320×240) 2.0インチ IPS タッチ(320×240) 2.0インチ IPS タッチ(320×240)
カメラ なし なし GC0308(0.3MP)
マイク なし SPM1423 デュアルマイク
スピーカー 1W 1W 1W
バッテリー 110mAh 390mAh 500mAh
IMU(加速度/ジャイロ) なし MPU6886 BMI270
価格 ¥5,500前後 ¥7,000前後 ¥6,200前後

エッジAI用途のおすすめ: CoreS3 SE がESP32-S3搭載でAI推論性能が高く、カメラ・マイク・IMUが内蔵されているためAIプロジェクトに最適です。価格もCore2より安く、コストパフォーマンスに優れています。


Arduino/Raspberry Piとの比較

M5StackはArduinoやRaspberry Piと何が違うのか、メリット・デメリットを比較します。

比較表

比較項目 M5Stack(CoreS3 SE) Arduino Uno R4 Raspberry Pi 5
価格 ¥6,200 ¥3,500 ¥10,000〜
ディスプレイ 内蔵(タッチ対応) なし(別途購入) なし(HDMI出力)
Wi-Fi/BLE 内蔵 Wi-Fiのみ(R4 WiFi) 内蔵
バッテリー 内蔵(500mAh) なし なし
OS なし(ベアメタル) なし Linux
プログラミング C/C++、MicroPython C/C++ Python、C++等
AI推論 TFLite対応(ESP32-S3) 限定的 PyTorch、TF対応
拡張性 Grove/Hatモジュール シールド HAT、USB
はんだ付け 不要 場合による 不要

M5Stackのメリット

  1. オールインワン: ディスプレイ・バッテリー・スピーカーが一体化
  2. 配線不要: Grove互換コネクタでセンサーをケーブル1本で接続
  3. 持ち運び可能: バッテリー内蔵でモバイルデバイスとして使える
  4. 筐体付き: ケース設計や3Dプリントが不要
  5. 豊富なモジュール: M5Stack公式のUnit/Hat/Moduleで簡単に機能追加

M5Stackのデメリット

  1. GPIOピン数が少ない: Arduinoと比べてピン数が限られる
  2. カスタマイズ性: 筐体が固定サイズのため、大型プロジェクトには不向き
  3. コスト: Arduino単体より高い(ただしディスプレイ等を考慮すると同等)
  4. 日本語ドキュメント: Arduino/Raspberry Piに比べると少なめ

M5StackでできるAIプロジェクト

プロジェクト1: 環境モニタリング(温湿度+AI予測)

温度・湿度・気圧センサーのデータを収集し、時系列予測モデルで今後の変化を予測するプロジェクトです。M5Stackのディスプレイにリアルタイムでグラフと予測値を表示します。

仕組み:

  1. ENV IVユニット(SHT40 + BMP280)で温湿度・気圧データを取得
  2. 過去24時間分のデータをPSRAMに蓄積
  3. 軽量LSTMモデル(TFLite)で6時間先の温湿度を予測
  4. ディスプレイに現在値・推移グラフ・予測値を表示
  5. 急激な変化を検出した場合はブザーで警告

必要な部品:

部品 目安価格
M5Stack CoreS3 SE ¥6,200
ENV IVユニット ¥1,800
Groveケーブル 付属
合計 約¥8,000

応用例:

  • サーバールームの温度監視
  • 植物栽培の環境管理
  • 室内の快適度モニタリング

プロジェクト2: ジェスチャー認識

CoreS3 SEの内蔵IMU(BMI270)を使って、手の動き(上下左右、回転)を認識するプロジェクトです。認識結果に応じてスマートホームデバイスを制御できます。

仕組み:

  1. IMU(加速度・ジャイロ)データを50Hzでサンプリング
  2. 1秒間(50サンプル)のウィンドウでデータを切り出し
  3. Edge Impulseで学習したCNNモデルで分類
  4. 認識結果に応じてMQTT送信 or BLE制御

必要な部品:

部品 目安価格
M5Stack CoreS3 SE ¥6,200
(IMU内蔵のため追加部品なし) ¥0
合計 約¥6,200

CoreS3 SEだけで追加部品なしにジェスチャー認識が始められるのが、M5Stackの最大の魅力です。

認識できるジェスチャー例:

  • 上下シェイク → 照明ON/OFF
  • 左右回転 → 音量調整
  • 円を描く → モード切替
  • ダブルタップ → 実行/確定

プロジェクト3: 音声制御IoTデバイス

CoreS3 SEの内蔵マイクで音声コマンドを認識し、Wi-Fi経由で他のデバイスを制御するプロジェクトです。

仕組み:

  1. 内蔵デュアルマイクで音声を取得
  2. MFCC特徴量に変換
  3. キーワード検出モデル(TFLite)で「ライトオン」「エアコン」「タイマー」等を認識
  4. HTTP/MQTTでスマートプラグやスマートリモコンに指示を送信
  5. ディスプレイに認識結果とデバイス状態を表示

必要な部品:

部品 目安価格
M5Stack CoreS3 SE ¥6,200
スマートプラグ(SwitchBot等) ¥2,000
合計 約¥8,200

ポイント: 市販のスマートスピーカーと違い、音声データがクラウドに送信されないため、プライバシーを重視する方に最適です。


開発環境セットアップ

Arduino IDE

最も広く使われている開発環境です。M5Stack公式ライブラリが充実しています。

セットアップ手順:

  1. Arduino IDEをインストール(2.x系推奨)
  2. ボードマネージャーにESP32ボードURLを追加:
    https://espressif.github.io/arduino-esp32/package_esp32_index.json
    
  3. ボードマネージャーから「esp32 by Espressif Systems」をインストール
  4. ライブラリマネージャーから「M5Unified」をインストール
  5. ボードを「M5Stack-CoreS3」に設定

TFLite追加:

ライブラリマネージャーで「TensorFlowLite_ESP32」を検索してインストール

PlatformIO

VS Codeの拡張機能として動作する開発環境です。ライブラリ管理やビルド設定が柔軟で、大規模プロジェクトに向いています。

platformio.ini の設定例:

[env:m5stack-cores3]
platform = espressif32
board = m5stack-cores3
framework = arduino
lib_deps =
    m5stack/M5Unified
    tanakamasayuki/TensorFlowLite_ESP32
monitor_speed = 115200

UIFlow(初心者向け)

M5Stack公式のビジュアルプログラミング環境です。ブロックを組み合わせてプログラムを作成できます。AI推論には対応していませんが、センサーデータの取得やディスプレイ表示の学習に最適です。


既存計算ツールとの連携

M5Stackプロジェクトでも当サイトの計算ツールが役立ちます。


まとめ

M5Stackは、ディスプレイ・センサー・バッテリーが一体化した「すぐ使える」開発プラットフォームです。

  • CoreS3 SE がAIプロジェクトに最適(ESP32-S3 + カメラ + マイク + IMU)
  • Grove互換コネクタでセンサー追加が簡単(はんだ付け不要)
  • 環境モニタリング・ジェスチャー認識・音声制御など多彩なAIプロジェクト
  • Arduino IDE/PlatformIOで本格的なAI開発
  • **¥6,200〜**で追加部品なしにAIプロジェクトを開始可能

「配線が苦手」「すぐに動くものを作りたい」という方には、M5Stackが最適な選択肢です。CoreS3 SEとEdge Impulseの組み合わせで、エッジAIの世界に踏み出してみましょう。

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